瓦屋根に板壁・漆喰塗りの外観。骨太の構造材。この地域特有の、田舎普請の平屋建である。2間続きの和室と洋室が2室という田の字型の間取りで、和室の重厚な造りに惹かれて購入した築10年の中古物件だが、洋室2室の使い勝手が悪く、家族4人と平日滞在されるご両親の生活の場としては、広さの面でも、機能面でも、少し無理のあるような状況だった。

収納が圧倒的に足りないのです』出会いはこの言葉から始まった。『小屋裏がもったいないほど大きいので、そこを収納にしてほしい』というのが最初のオーダーであった。

まずは、洋室2室に重点的に手を入れる。構造・断熱・床暖房等の“性能面”と、生活スタイルにあわせた動線計画や、必要な収納量を確保する等の“機能面”を改良する。その上で、ゆとりや楽しさも感じられる場を目指して、小屋裏に手を入れることを提案させてもらった。

結果、洋室2室は、LDK、ワークコーナー、クローゼットがゆるやかにつながり、既存和室の重厚感にも見合う空間に生まれ変わった。

『元々、木にこだわって建てられていた和のイメージも生かすことができ、また、小さい子のいるフルタイムの共働き夫婦にとって、物をしまえる空間がたっぷり用意されたことで、ストレスが大幅に軽減されました』と住まい手。小屋裏は子供たちの良き遊び場にもなっているそうだ。

『檜の床は夏は涼しく冬は暖かい。床暖房がこれほど心地良いものとは思いませんでした。子供たちは年中ここでごろごろしていますし、自然とここに人が集まってきます。毎日大忙しの私たち夫婦にとって、我が家が木に包まれた安らぐ空間となり、かつ合理的に家事ができるようになって、本当にリフォームしてよかったと思っています。』

建築データ 

所在地:大阪府和泉市
家族構成:夫婦と子供2人

リフォーム面積:1階 32.82㎡ 
小屋階 23.28㎡ 
構造:木造軸組工法:
築年数:10年
竣工:2007年12月
工事費:840万円

設計:村上あさひ(一級建築士事務所MUK)
大阪府堺市南区鴨谷台3-3-5-406
072-298-7368 

施工:㈱コアー建築工房
大阪府堺市中区東山593  072-239-2880